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 『木の子説法』 青空文庫

 一樹の囁《ささや》く処によれば、こうした能狂言の客の不作法さは、場所にはよろうが、芝居にも、映画場にも、場末の寄席にも比較しようがないほどで。男も女も、立てば、座《すわ》ったものを下人《げにん》と心得る、すなわち頤《あご》の下に人間はない気なのだそうである。
 中にも、こども服のノーテイ少女、モダン仕立ノーテイ少年の、跋扈跳梁《ばっこちょうりょう》は夥多《おびただ》しい。……
 おなじ少年が、しばらくの間に、一度は膝を跨《また》ぎ、一度は脇腹を小突き、三度目には腰を蹴つけた。目まぐろしく湯呑所《ゆのみじょ》へ通ったのである。

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