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『歌行燈』
従吾所好
「いや、能く分つた。教へ方も、習ひ方も、話されずと能く分つた。時に、山田に居て、何うぢやな、其の舞だけでは勤まらなんだか。」
「はい、はじめて謡ひました時は、皆が、わつと笑ふやら、中には恐い怖いと云ふ人も
ござ
んす。何故言ふと、五日ばかり、あの私がな、天狗様に誘ひ出された、と風説したので
ござ
んすから。」
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