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 『歌行燈』 従吾所好

「は、如何にも師匠が魔でなくては、其の立方は習はれぬわ。むゝ、で、何かの、伊勢にも謡うたふものの、五人七人はあらうと思ふが、其の連中には見せなんだか。」
「えゝ、物好に試すつて、呼んだ方もありましたが、地をお謡ひなさる方が、何ぢややら、些とも、ものに成らぬと言つて、すぐにお留〈や〉めなさいましたの。」
「はゝあ、いや、其の足拍子を入れられては、やはな謡は断〈ちぎ〉れて飛ぶぢやよ。はゝゝはゝ、唸る連中粉灰ぢやて。かたがた此の桑名へ、住替へとやらしたのかの。」

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