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 『天守物語』 泉鏡花を読む

  正面奥の中央、丸柱の傍に鎧櫃《よろひびつ》を据ゑて、上に、金色《こんじき》の眼《まなこ》、白銀《しろがね》の牙、色は藍の如き獅子頭、萌黄錦《もえぎにしき》の母衣《ほろ》、朱の渦まきたる尾を装ひたるまゝ、荘重にこれを据ゑたり。――侍女等、女童とともに其の前に行き、跪《ひざまづ》きて、手に/\秋草を花籠に挿す。色の其のしき蝶の群、斉しく飛連れてあたりに舞ふ。雷やや聞ゆ。雨来る。

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