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 『義血侠血』 青空文庫

「後生だい、手を仮《か》してくんねえか。あの瓦多《がた》馬車の畜生、乗っ越さねえじゃ」
「こっとらのが立たねえんだ」と他の一箇《ひとり》は叫べり。
 血気事を好む徒《てあい》は、応と言うがままにその車を道ばたに棄てて、総勢五人の車夫は揉みに揉んで駈けたりければ、二、三町ならずして敵に逐い着き、しばらくは相並びて互いに一歩を争いぬ。

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