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 『義血侠血』 青空文庫

 左側《さそく》の席の前端《まえはし》に並びたる、威儀ある紳士とその老とは、顔を見合わせて迭《たが》いに色を動かせり。渠は質素なる黒の紋着きの羽織に、節仙台《ふしせんだい》の袴を穿きて、その髭は弁者より麗しきものなりき。渠は紳士というべき服装《いでたち》にはあらざるなり。されどもその相貌とその髭とは、多く得べからざる紳士の風采を備えたり。

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