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 『日本橋』 青空文庫

 世渡やここに一|人、飴屋の親仁は変な顔。叱言を、と思う頬辺を窪めて、もぐもぐと呑込んで黙言の、眉毛をもじゃ。若い妓は気の毒なり、小児たちは常得意。内心痛し、頗る痒しで、皺だらけの手の甲を顋の下で摺ってござった。
「川柳にも有るがね、(黙然と辻斬を見る石地蔵。)さね。……俺も弱ったよ。……近い処が、西河岸にござらっしゃる、ね、あの、目の前であったろうずりゃ、お地蔵様はどうお扱いなさりょうかと、つくづく思っていましたよ、はい。……」

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