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 『人魚の祠』 青空文庫

 ――理学士は言掛《いひか》けて、私の顔を視て、而《そ》して四辺《あたり》を見た。恁うした店の端近は、奥より、二階より、却つて椅子は閑《しづか》であつた――
「鯉は、其は鯉でせう。が、玉のやうな真な、あの森を背景にして、宙に浮いたのが、すつと合せた脛《しろはぎ》を流す……凡そ人形ぐらゐな身《はくしん》の女子の姿です。釣られたのぢやありません。釣針をね、恁う、両手で抱いた形。

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