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『古狢』
青空文庫
という、斜《ななめ》に見える市場の裏羽目に添って、紅蓼《べにたで》と、露草の枯れがれに咲いて残ったのが、どちらがその狐火《きつねび》の小提灯《こじょうちん》だか、濡々《ぬれぬれ》と灯《とも》れて、尾花に戦《そよ》いで……それ動いて行く。
「そうか、私はまた狐の糸工場かと思った。雨あしの
白
いのが、天井の車麩から、ずらずらと降って来るようじゃあないか。」
「可厭《いや》、おじさん。」
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