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 『天守物語』 泉鏡花を読む

薄 (薄暗き中に)御覧、両眼赫燿《かくえう》と、牙も動くやうに見えること。
桔梗 花も胡蝶《てふ》もお気に入つて、お嬉しいんでございませう。
  時に閃電《せんでん》す。光の裡《うち》を、衝《つ》と流れて、胡蝶《こてふ》の彼処《かしこ》に流るゝ処《ところ》、殆ど天井を貫きたる高き天守の棟に通ずる階子《はしご》。――侍女等、飛ぶ蝶の行方につれて、ともにそなたに目を注ぐ。

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