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 『歌行燈』 従吾所好

 ト宗山が、凝と塞いだ目を、ぐる/\と動かして、
(暫く、今の拍子を打ちなされ……古市から尾上町まで声が聞えようか、と言ひなさる、御大言、年のお少さ。まだ一度も声は聞かず、顔は固より見た事もなけれども……当流の大師匠、恩地源三郎どの養子と聞く……同じ喜多八氏の外にはあるまい。然やうでござらう、恩地、)

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