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 『婦系図』 青空文庫

 と、何だか話しに乗らないから、畳かけて云った。妙子、と早や名のこの男に知られたのを、早瀬はその人のために恥辱のように思って、不快な色が眉の根に浮んだ。
「どうして、学校で、」
 とこの際わざと尋ねたのである。母子《おやこ》で参観したことは、もう心得ていたのに。

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