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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 と顔を見て、
 「しかし、如何にもその時はお寂しかったでございましょう。」
 「実際、貴僧《あなた》、遙々《はるばる》と国を隔てた事を思い染みました。この果に故郷がある、と昼間三崎街道を通りつつ、考えなかったでもありませんが、場所と時刻だけに、また格別、古里が遠かったんです。」

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