検索結果詳細


 『義血侠血』 青空文庫

 たちまち進み来たれる紳士は帽を脱して、ボタンの二所失《と》れたる茶羅紗《ちゃらしゃ》のチョッキに、水晶の小印《こいん》を垂下《ぶらさ》げたるニッケル鍍《めっき》の〓《くさり》を繋《か》けて、柱に靠《もた》れたる役員の前に頭を下げぬ。
「その後は御機嫌よろしゅう。あいかわらずお達者で……」
 役員は狼狽して身を正し、奪うがごとくその味噌漉し帽子を脱げり。

 666/706 667/706 668/706


  [Index]