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『義血侠血』
青空文庫
たちまち進み来たれる紳士は帽を脱して、ボタンの二所失《と》れたる茶羅紗《ちゃらしゃ》のチョッキに、水晶の小印《こいん》を垂下《ぶらさ》げたるニッケル鍍《めっき》の〓《くさり》を繋《か》けて、柱に靠《もた》れたる役員の前に頭を下げぬ。
「その後は御機嫌よろしゅう。あいかわらずお達者で……」
役員は狼狽して身を正し、奪うがごとくその味噌漉し帽子を脱げり。
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