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 『海神別荘』 華・成田屋

僧都  まだまだ、あれは深い方にござります。一人娘の身に代えて、海の宝を望みましたは、慾念の逞(たくまし)い故でございまして。・・・たかだかは人間同士、夥間(なかま)うちで、白い柔な膩身(あぶらみ)を、炎の燃立つ絹に包んで蒸しながら売り渡すのが、峠の関所かと心得ます。
公子  馬鹿だな。(珊瑚の椅子をすッと立つ)恋しい女よ。望めば生命(いのち)でも遣ろうものを。・・・はは、はは。
微笑す。

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