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『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
昼の内は宰八なり、誰か、時々お伺いはいたしますが、この頃は気怯《きおく》れがして、それさえ不沙汰がちじゃに因って、私に能くお見舞申してくれ、という、暮々もその託《ことづけ》でございました。が何か、最初の内、貴方が御逗留というのに元気づいて、血気な村の若い者が、三人五人、夜食の惣菜ものの持寄り、一升徳利なんぞ提げて、お話対手《はなしあいて》、夜伽はまだ穏な内、やがて、刃物切物、鉄砲持参、手覚えのあるのは、係羂《かけわな》に鼠の天麩羅を仕掛けて、ぐびぐび飲みながら、夜更けに植込みを狙うなんという事がありますそうで?――
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