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『五大力』
従吾所好
と言ふ。車夫は、空にした、茶飯の茶碗を、ト巾着附に腰の辺で。くるりと向うむきに、其処が板塀の小溝越に、足を投げて、突張りながら、殺さば殺せ覚悟の体。首を長く、がくりと成つて、先刻から鼾を掻く。其の響きで、茶碗に投げた竹箸が、
魔
の魅〈さ〉した狐狗狸と云ふ形で、ひよいひよい。茶飯屋が肩をたゝいて、「串戯ではない、これ、若い衆、」
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