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 『薬草取』 青空文庫

「あれ。」と袖《そで》を斜《ななめ》に、袂《たもと》を取って打傾《うちかたむ》き、
「あれ、まあ、御覧なさいまし。」
 その草染《くさぞめ》の左の袖に、はらはらと五片三片《いつひらみひら》紅《くれない》を点じたのは、山鳥《やまどり》の抜羽《ぬけは》か、非《あら》ず、蝶《ちょう》か、非《あら》ず、蜘蛛《くも》か、非《あら》ず、桜の花の零《こぼ》れたのである。

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