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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「その怪しいものの方でも、手をかえ、品をかえ、怯《おびや》かす。――何かその……畳がひとりでに持上りますそうでありますが、真個《まったく》でございますかな。」
 熟《じっ》と視て聞くと、また俯向いて、
 「ですから、お話しも極りが悪い、取留めのない事だと申すんです。」

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