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 『天守物語』 泉鏡花を読む

   天守夫人、富姫。(打見は二十七八)岩代国猪苗代、亀の城、亀姫。(二十ばかり)姫川図書之助。(わかき鷹匠) 小田原修理。山隅九平。(ともに姫路城主武田播磨守家臣) 十文字ヶ原、朱の盤坊。茅野ヶ原の舌長姥。(ともに亀姫の眷属) 近江之丞桃六。(工人) 桔梗。萩。葛。女郎花。撫子。(いずれも富姫の侍女) 薄。(おなじく奥女中) 女の童、禿、五人。武士、討手、大勢。

  舞台。天守の五重。左右に柱、向つて三方を廻廊下のごとく余して、一面に高く高麗べりの畳を敷く。紅の鼓の緒、処々に蝶結びして一條、これを欄干のごとく取りまはして柱に渡す。おなじ鼓の緒のひかへづなにて、向つて右、廻廊の奥に階子《はしご》を設く。階子は天井に高く通ず。左の方廻廊の奥に、また階子の上下の口あり。奥の正面、及び右なる廻廊の半ばより厚き壁にて、広さ矢狭間《やざま》、狭間《はざま》を設く。外面は山嶽の遠見、秋の雲。壁に出入りの扉あり。鼓の緒の欄干外、左の一方、棟甍《むながはら》、並びに樹立の梢を見す。正面おなじく森々たる樹木の梢。

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