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 『高野聖』 泉鏡花を読む

 飛騨から信州へ越える深山の間道で、丁度立休らはうといふ一本の樹立も無い、右も左も山ばかりぢや、手を伸ばすと達きさうな峰があると、其の峰へ峰が乗り、巓が被さつて、飛ぶ鳥も見えず、雲の形も見えぬ。
 道と空との間に唯一人我ばかり、凡そ正午と覚しい極熱の太陽の色もいほどに冴え返つた光線を、深々と戴いた一重の檜笠に凌いで、恁う図面を見た。」

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