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 『龍潭譚』 青空文庫

 「ああ、いつもはさうして出してやるのだけれど、けふはお前私にかくれてそツと出て行つたろうではないかねえ。」
 「それはハヤ不念なこんだ。帯の結《むすび》めさへ叩いときや、何がそれで姉様なり、様《おふくろさま》なりの魂が入るもんだで魔《エテ》めはどうすることもしえないでごす。」

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