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『国貞えがく』
青空文庫
向うの溝から鰌にょろり、こちらの溝から鰌にょろり、と饒舌《しゃべ》るのは、けだしこの水溜《みずたまり》からはじまった事であろう、と夏の夜店へ行帰《ゆきかえ》りに、織次は独りでそう考えたもので。
同一《おなじ》早饒舌《はやしゃべ》りの中に、茶釜雨合羽と言うのがある。トあたかもこの溝の左角が、合羽屋、は面
白
い。……まだこの時も、渋紙の暖簾が懸った。
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