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 『婦系図』 青空文庫

「先方《さき》の身分も確めねばならず、妙子、(ともう呼棄てにして)の品行の点もあり、まあ、学校は優等としてだね。酒井は飲酒家《さけのみ》だと云うから、遺伝性の懸念もありだ。それは大丈夫としてからが、ああいう美しいのには有りがちだから、肺病の憂《うれい》があってはならず、酒井の親属関係、妙子の交友の如何《いかん》、そこらを一つ委《くわ》しく聞かして貰いたいんだがね。」
 主税は堪りかねて、ばりばりと烏府《すみとり》の中を突崩した。この暖いのに、河野が両手を翳すほど、火鉢の火は消えかかったので、彼は炭を継ごうとして横向になっていたから、背けたに稲妻のごとく閃いた額の筋は見えなかったが、

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