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『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
坐ってる人が、真個《ほんと》に転覆《ひっくりかえ》るほど、根太から揺れるのでない証拠には、私が気を着けています洋燈《ランプ》は、躍りはためくその畳の上でも、静《じっ》として、些とも動きはせんのです。
しかしまた洋燈《ランプ》ばかりが、笠から始めて、ぐるぐると廻った事がありました。やがて貴僧《あなた》、風車のように舞う、その癖、場所は変らないので、あれあれという内に火が真丸になる、と見ている内、白くなって、それに蒼味がさして、茫として、熟《じっ》と据る、その厭な光ったら。
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