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 『二、三羽――十二、三羽』 青空文庫

 雪の時は――見馴れぬ花の、それとは違って、天地を包む雪であるから、もしこれに恐れたとなると、雀のためには、大地震以上の天変である。東京のは早く消えるから可いものの、五日十日積るのにはどうするだろう。半歳《はんさい》雪に埋もるる国もある。
 或時《あるとき》も、また雪のために一日形《かたち》を見せないから、……真個《ほんとう》の事だが案じていると、次の朝の事である。ツィ――と寂しそうに鳴いて、目白鳥《めじろ》が唯一羽、雪を被《かつ》いで、に咲いた一輪、寒椿の花に来て、ちらちらと羽も尾も白くしながら枝を潜った。

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