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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 〓《ぱっ》と明《あかる》くなって旧《もと》の通《とおり》洋燈《ランプ》が見えると、その膝に乗られた男が――こりゃ何です、可い加減な年配でした――かつて水兵をした事があるとかいって、予て用意したものらしい、ドギドギする小刀《ナイフ》を、火屋《ほや》の中から縦に突刺してるじゃありませんか。」
 「大変で、はあ、はあ、」
 「ト思うと一呼吸《ひといき》に、油壺をかけて突壊《つきこわ》したもんだから、流れるような石油で、どうも、後《あと》二日ばかり弱りました。

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