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 『歌行燈』 従吾所好

 瞳の動かぬ気高い顔して、恍惚と見詰めながら、よろ/\と引退〈さが〉る、と黒髪うつる藤紫、肩も腕も嬌娜〈なよやか〉ながら、袖に構へた扇の利剣、霜夜に声も凛々と、
「……引上げ給へと約束し、一つの利剣を抜持つて……」
 肩に綾なす鼓の手影、雲井の胴に光さし、艶が添つて、名誉が篭めた心の花に、調の緒の色、颯と燃え、ヤオ、と一つ声が懸る。

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