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 『化鳥』 青空文庫

で、まだ/\いろんなことをいつて、人間が、鳥や獣《けだもの》よりえらいものだとさういつておさとしであつたけれど、海ン中だの、山奥だの、私《わたし》の知らない、分らない処のことばかり譬《たとへ》に引いていふんだから、口答《くちごたへ》は出来なかつたけれど、ちつともなるほどと思はれるやうなことはなかつた。
だつて、私《わたし》母様《おつかさん》のおつしやること、虚言《うそ》だと思ひませんもの。私《わたし》の母様《おつかさん》がうそをいつて聞かせますものか。
先生は同《おなじ》一組《クラス》の小児達《こどもたち》を三十人も四十人も一人で可愛がらうとするんだし、母様《おつかさん》は私《わたし》一人可愛いんだから、何うして、先生のいふことは私《わたし》を欺すんでも、母様《おつかさん》がいつてお聞かせのは、決して違つたことではない、トさう思つてるのに、先生のは、まるで母様《おつかさん》のと違つたこといふんだから心服はされないぢやありませんか。

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