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 『夜叉ヶ池』 青空文庫

百合 御串戯おっしゃいます。……いいえ、悪戯《いたずら》を遊ばすようなお方とは、お見受け申しはしませんけれど、その鐘は、明六つと、暮六つと、夜中丑満《うしみつ》に一度、――三度のほかは鳴らさない事になっておりますから、失礼とは存じましたが、ちょっと申上げたのでございます。さあ、どうぞ御遠慮なく、上って御覧なさいまし。(夕顔の垣根について入《いら》んとす。)
学円 ああ、ちょっと……お待ち下さい。鐘を見ようと思いますが、ふと言《ことば》を交わしたを御縁に、余り不躾《ぶしつけ》がましい事じゃが、茶なりと湯なりと、一杯お振舞い下さらんか。

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