検索結果詳細


 『歌行燈』 従吾所好

 「(源三郎)……かくて龍宮に至りて宮中を見れば、其の高さ三十丈の玉塔に、彼玉をこめ置、香花〈かうげ〉を備へ、守護神は八龍並居たり、其外悪魚鰐の口、遁れがたしや我命、さすが恩愛の故郷〈ふるさと〉のかたぞ恋しき、あの浪のあなたにぞ……」
 爾時〈そのとき〉、漲る心の張に、島田の元結弗〈ふツ〉つと切れ、肩に崩るゝ緑の黒髪。に乱れて、灯に揺めき、畳の海は裳に澄んで、塵も留めぬ舞振かな。

 731/744 732/744 733/744


  [Index]