検索結果詳細
『歌行燈』
従吾所好
爾時〈そのとき〉、漲る心の張に、島田の元結弗〈ふツ〉つと切れ、肩に崩るゝ緑の黒髪。水に乱れて、灯に揺めき、畳の海は裳に澄んで、塵も留めぬ舞振かな。
「(源三郎)……我子は有らん、父大臣〈おとゞ〉もおはすらむ……」
と声が幽んで、源三郎の地謡ふ節が、フト途絶えようとした時であつた。
732/744
733/744
734/744
[Index]