検索結果詳細


 『五大力』 従吾所好

 小弥太は気怯れのみせられたのである。
 汐見橋が瑪瑙のきが如く、女性を迎へて塵をも据ゑぬ。
 が、渡らずに、ふいと河岸へ切れて、角家の低い軒の瓦斯燈に、胸はづれを幽かに映しながら、上から下りるやうに曲つて、霜の横町へ、すつと入る時、女性は身動きもしなかつた。

 733/1139 734/1139 735/1139


  [Index]