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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 さあ、捜す、と成ると、五人の天窓《あたま》へ燭台が一ツです。蝋の継ぎ足しはあるにして、一時に燃すと翌方《あけがた》までの便《たより》がないので、手分けをするわけには行きません。
 もうそうなりますとね、一人じゃ先へ立つのも厭がりますから、其処で私が案内する、と背後《あと》からぞろぞろ。その晩は、鶴谷の旦那寺の納所だ、という悟った禅坊さんが一人。変化《へんげ》出でよ、一喝で、という宵の内の意気組でいたんです。些とお差合いですね、」

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