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 『日本橋』 青空文庫

 もし、栄螺も蛤も活きていますわ。中でもね……お雛様に飾ったのは、ちらちら蝋燭の煮えます時、春雨の静かな晩は、口を利くものなんですよ。クク、」
 と酸漿を鳴らすがごとく、
「なんて。――可哀相に、蒸したり焼いたり出来ますかって貴下――おまけにお雛様んでしょう――この方の心意気は、よく分ってるじゃありませんか。

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