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『歌行燈』
従吾所好
「やあ、大事な処、倒れるな。」
と源三郎すつと座を立ち、よろめく三重の背を支へた、老の腕に女浪の袖、此の後見の大磐石に、みるの緑の黒髪かけて、颯と翳すや舞扇は、銀地に、其の、雲も恋人の影も立添う、光を放つて、灯を
白
めて舞ふのである。
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