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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「否《いえ》、宗旨違いでございます、」
 と吃驚《びっくり》したように莞爾する。
 「坊さんまじりその人数《にんず》で。これが向うの曲角《まがりかど》から、突当りのはばかりへ、廻縁《まわりえん》になっています。ぐるりとその両側、雨戸を開けて、沓脱のまわり、縁の下を覗いて、念のため引返して、また便所《はばかり》の中まで探したが、光るものは火屋《ほや》の欠《かけら》も落ちてはいません。

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