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『半島一奇抄』
青空文庫
「ものの三間とは離れません。宮裏に、この地境《じざかい》らしい、
水
が窪み入った淀《よど》みに、朽ちた欄干ぐるみ、池の橋の一部が落込んで、流《ながれ》とすれすれに見えて、上へ落椿が溜《たま》りました。うつろに、もの寂しくただ一人で、いまそれを見た時に、花がむくむくと動くと、真黒《まっくろ》な面《つら》を出した、――尖《とが》った馬です。」
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