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 『五大力』 従吾所好

「あゝ、面だ……矢張り面だ。」と小弥太は、近くへも寄り得ないで、呼吸を切つて、呟くのであつた。
「面ぢやありません、面ぢやありません。しかし、」
 と其のまゝ、袖の中で云つた。其の袖を、しなやかに衝と挙げて、然うして顔を蔽ふと、乱れた振を透通つて、慄然〈ぞつと〉する雪の膚〈はだえ〉。……扱帯〈しごき〉のなりで、しどけない、寝衣の褄も乱れて居る。

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