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 『五大力』 従吾所好

 と其のまゝ、袖の中で云つた。其の袖を、しなやかに衝と挙げて、然うして顔を蔽ふと、乱れた振を透通つて、慄然〈ぞつと〉する雪の膚〈はだえ〉。……扱帯〈しごき〉のなりで、しどけない、寝衣の褄も乱れて居る。
 小弥太は偶と差屈〈さしかゞ〉んで、其の足許に目を着けたが、夜の小路の響にも知れた。――素足の霜にを搦めて、浅葱の端緒ではあるまじいが、……裳が落ちて、隠れて見えぬ。

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