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 『五大力』 従吾所好

「ぢや、あの、石置場の処を、五大力に乗つて、通つた事はありませんか。」
「否、面ぢやないの、此のしいのは、此のしいのは私の顔です。」
 と、袖を払ふと、音もなく、スツとはづれた、小弥太は其の顔がそげたと思つた。……女性も亦、殆ど首が抜けたらしく、くな/\と成つて、萎えたる衣〈きぬ〉のみ崩るゝやうに、ばつたりと腰を落す、……と丁ど横はつて居た角二尺ばかりの材木に支へられて、褄を投遣りに、僅に扱帯で留まつたのである。

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