検索結果詳細


 『五大力』 従吾所好

 されば、天の簪の、明星の如く、夜行く人の黒髪を照らすと見たのは、名工の鑿の光が、細工に篭つた燐火〈おにび〉であつた。蒼い影は、時に、女性の鬢を辷つて、手にした面の其の黛を、どんより照らして、雲の如き下髪〈さげがみ〉の描ける額を宙に映す。……
 あれは萍の名に負ふよ、材木の影は筏を流して、小弥太の地につかず立つ足許も、に漾ふ心地であつた。
 も一つの顔は袖がくれ。

 765/1139 766/1139 767/1139


  [Index]