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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 石じゃ、と申しましたのは、これでも幾干《いくら》か、不断の事を、覚えていると見えまして、私《わし》が何時でもお客様に差上げますのを知っておりまして、今のようにいうたのでござりましょ。
 また埴土《ねばつち》の団子じゃ、とおっしゃってはなりません。このお前様。」
 と、法師の脱いで立てかけた、檜笠を両手に据えて、荷物の上へ直すついでに、目で教えたる葭簀の外。

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