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『天守物語』
泉鏡花を読む
薄 尚ほその上に、御前様、お痩せ遊ばしてをがまれます。柳よりもお優しい、すら/\と雨の刈萱《かるかや》を、お被《か》け遊ばしたやうにござります。
夫人 嘘ばつかり。小山田の、案山子《かゝし》に借りて来たのだものを。
薄 否《いゝえ》、それでも貴女《あなた》がめしますと、玉、白銀《しろがね》、揺《ゆるぎ》の糸の、鎧のやうにもをがまれます。
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