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 『絵本の春』 青空文庫

 の出盛った二時半頃、裏向《むき》の二階の肱掛窓《ひじかけまど》を開けて、立ちもやらず、坐りもあえず、あの峰へ、と山に向って、膝《ひざ》を宙にを見ると、肱の下なる、廂屋根《ひさしやね》の屋根板は、鱗《うろこ》のように戦《おのの》いて、――北国の習慣《ならわし》に、圧《おし》にのせた石の数々はわずかにを出た磧《かわら》であった。

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