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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「あれを貴下《あなた》、お通りがかりに、御覧《ごろう》じはなさりませんか。」
 と背向《うしろむ》きになって小腰を屈め、姥は七輪の炭をがさがさと火箸で直すと、薬缶《やかん》の尻が合点で、丁《ちゃん》と据わる。
 「どの道貴下《あなた》には御用はござりますまいなれど、大崩壊《おおくずれ》の突端《とっぱし》と睨み合いに、出張っておりますあの巌《いわ》を、」

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