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『龍潭譚』
青空文庫
われにもあらでまたとは見るに忍びぬを、いかでわれかかるべき、必ず心の迷へるならむ、今こそ、今こそとわななきながら見直したる、肩をとらへて声ふるはし、
「お、お、千里《ちさと》。ええも、お前は。」と姉上ののたまふに、縋りつかまくみかへりたる、わが
顔
を見たまひしが、
「あれ!」
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