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 『縁結び』 青空文庫

 女主人公《じょしゅじんこう》の熊野を勤《つと》めた婦人は、このお腰元に較《くら》べていたく品形《しなかたち》が劣《おと》っていたので、なぜあの瓢箪《ひょうたん》のようなのがシテをする。根占《ねじめ》の花に蹴落《けお》されて色の無さよ、と怪《あやし》んで聞くと、芸も容色《きりょう》も立優《たちまさ》った朝顔だけれど、――名はお君という――その妓《こ》は熊野を踊《おど》ると、後できっと煩《わず》らうとの事。仔細《しさい》を聞くと、させる境遇《きょうぐう》であるために、親の死目に合わなかったからであろう、と云った。
 不幸で沈んだと名乗る淵《ふち》はないけれども、孝心なと聞けば懐《なつか》しい流れの花の、旅の衣《ころも》の俤《おもかげ》に立ったのが、しがらみかかる部屋の入口。

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