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 『海神別荘』 華・成田屋

女房  燃えた火の消えますのは、油の尽きる、風の吹く、陸(おか)ばかりの事でございます。一度この国へ受取りますと、ここには風が吹きません。ただ花の香の、ほんのりと通うばかりでございます。紙の細工も珠に替って、葉の青いのは、翡翠の琅〓(ろうかん)、花片(はなびら)の白は、真玉(まだま)、白珠、宝玉。燃ゆる灯も、またたきながら消えない星でございます。御覧遊ばせ、貴女。お召ものが濡れましたか。お髪も乱れはしますまい。何で、お身体(からだ)が倒(さかさま)でございましょう。

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