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『夜叉ヶ池』
青空文庫
学円 鐘ばかり……成程、ところで西瓜の一件じゃ。(帽子を脱ぐ、ほとんど剃髪《ていはつ》したるごとき一分刈《いちぶがり》の額を撫《な》でて)や、西瓜と云えば、内に甜瓜《まくわうり》でもありますまいか。――茶店でもない様子――(見廻す。)
片山家《かたやまが》の暮れ行《ゆ》く風情、茅屋《かやや》の低き納戸の障子に灯影《ほかげ》
映
る。
学円 この上、晩飯の御難題は言出しませんが、いかんとも腹が空いた。
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